【第一回】serial experiments lain論考【導入編】

2018.06.11 00:47|連載記事
今年、2018年はTVアニメserial experiments lainの放映20周年です。
これに際して、serial experiments lain 20th anniversary eventとして、クラブサイベリアというファン主催のイベントが開催されます。
もうlainファンの人なら大体知ってるかも。もし知らなくて、万一今知った人がいたら是非検索してみて下さい。

今、Twitterでlain20thのハッシュタグを使って本編の同時視聴会が行われています。
しかも、脚本の小中千昭先生が解説や裏話を書いたトンデモ情報量のブログを日々更新して下さっています。
脳汁出ますよね。

そんな中で、色々書きたい欲がウズウズしてこの事件を機にガッツリめな評論を書いてみよう!と思い、連載形式でココに載せていくことにしました。多分、馬鹿長くなります。

エモいレビューというより、あえて「堅い」評論を書いてみたいと思っています。
lainファンの方に読んでもらいたいのが一番ですが、やりたい放題な評論を書くという意味で評論研究をしている人にも面白がってもらえればなと。研究室を出て自由の身になったから!
不定期更新になると思いますが、lain20周年の賑やかしの一つになれば幸いです。
今回は導入なので内容には入れてないです。手続き的な文章なので次回から読んで頂いても大丈夫です。
では以下本文。



【第一回 serial experiments lainに見る複合性―serial experiments lainに関する一連の実験的批評 導入編】


serial experiments lainを批評しようとするとき、どういった視点から問題提起しようか悩む。
この作品は、もちろんフィクションであるし、アニメ作品の性質上、小説作品のように直接的な「作者」を厳密に指名することは難しい(シナリオの書き手という意味では脚本の小中千昭氏がこの「物語の作者」ともいえるが、多くの映像作品がそうであるように、物語内容の決定には中村隆太郎監督をはじめ、複数の人物の考えや意図が反映されている他、例えばテレビ番組であるという作品外の枠も影響していることが推察され、この「作品の作者」を明確に特定するには別個そのための論考が必要であると考える)。

作者の問題として批評しないとなれば、物語内容(テーマ)についての批評、物語形式(フォーム)についての批評、あるいは現実の社会やアニメ史といったメタ視点の批評ということになろう。
しかし、この作品は、そうした「正しい」姿勢で取り組んで深部に到達出来るほど、シンプルなものではないように思う。
あらゆる意味において決して分かりやすい作品ではないことは、一度視聴したことのある人には説明不要だろうし、20年前の作品を今になって論考するにあたり、創意工夫無く取り組むというのは、ファンとして批評者として居心地が悪い。
そこで、ここでは三つの選択肢を同時に試したい。

つまり、テーマ、フォーム、メタ、というレベルの異なる視点の複合によってこの作品の批評を構築しようという考えだ。
複数の視点を設定する意図は、「複合性」が、この作品に通底するテーゼの一つであるという私的見解と、複数視点の考察が交差する一点において作品の立体的な批評を構築しようという、まさに一連の実験(serial experiments)的試みでこの作品を紐解きたいという遊び心に依るものである。

具体的な手順としては、テーマ、フォーム、メタという三つの視点の批評をそれぞれ構築し、導き出された批評内容をぶつけることで交差の中心に見えるテーゼを考察するという方法を取る。
本来であれば、同時並行で論を構築していったり、異なる視点から顕在化する仮設を、ディスカッション的にぶつけたりしながら演繹的に結論の構築を目指したいところであるが、今回の批評を、複合性による「破綻」ではなく「止揚」に導きながら書ききる自信をどうしても持てなかった。
本論考は、学術論文的なメソッドを下敷きにして行うが、何より「読み物として面白いファンの試み」として書き上げたいという考えから取り組むものである。
その為、まずは完結することを目指すということと、学術的な精密さに欠ける方法を多く採用するということについて、了承されたい。

さて、実作業に入るにあたり、まずは本論考の完結までの予定を記しておく。
本論考では、先に述べた通り、①テーマ、②フォーム、③メタ、という三つの視点から批評を行い、最後にそれらを複合することでテーゼを導き出す。つまり、大きく分けて四部構成で展開してゆく考えである。
また、実験的な試みの一つとして、上記のような複合的な批評構築の他、執筆途中の内容を適宜掲示してゆくという公開方法を取りたい。
これは、2018年5月よりserial experiments lain 20th anniversaryに寄せて行われている同時視聴会と、小中千昭氏が”welcome back to wired”という表題のもと連投形式で公開されているブログを意識してのことだ。

作品の一次文献ともいえる小中千昭氏のコメントが日々更新されている事件的展開はもちろんのこと、lain20thのハッシュタグと共にTwitterのタイムラインにlainファンのコメントが大量に流れているという状況は、通常の作品批評ではあり得ないことである。
この作品の公開からは、反省的な批評を行うには十分な時間が経過しているものと思うが、20年が経過した今、リアルタイムな話題として遡上にのぼるというのは、SNSやコンテンツ配信サービスといった時代の変化が為せる状況といえよう。ともすれば、今から取り組まんとする批評に際してこの「リアルタイム性」を逃す手は無い。

今後、一回1500字前後を目安に更新を重ね、全五回ほどでの完結を想定して更新してゆく。
それでも、この作品についての批評としてはとても短すぎる文量だろう。
しかし、すでに述べたように、完結させたいという意図のもと、不足な部分は延長したり機を改めたりするとして、まずはこの盛り上がりに参加して、話題の肥やしにすることを目指したい。
スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

| 2018.06 |
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール

いずみさや

Author:いずみさや
東京在住
漫画原作・小説等を制作
お問い合わせはlied.von.sayaあっとgmail.comまで
twitter:@saya_works
Author画像は自画像ではなくサークルのイメージキャラクターです

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

訪問者数

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

ページトップへ